体系学習
ネットワークの仕組みを最初から理解する
Webサイトを見るまでの流れをたどりながら、LAN・ルータ・IPアドレス・DNS・TCP/IP・HTTP/HTTPSの役割とつながりを理解する。
対象資格:ITパスポート / 基本情報技術者試験
目安時間:15分
このページで理解できること
- LANとインターネットがどのようにつながるかを説明できる
- IPアドレス・MACアドレス・ドメイン名の役割を区別できる
- DNSが名前解決で果たす役割を説明できる
- ルータとデフォルトゲートウェイの役割を説明できる
- TCP/IPとHTTP/HTTPSの関係を階層の違いとして理解できる
- Webサイトを開くまでの通信を順番に説明できる
ITパスポート:LAN/WAN、ルータ、IPアドレス、MACアドレス、DNS、TCP/IP、HTTP/HTTPS、DHCPなどの役割を、通信の流れの中で区別できる状態を目標にする。
ネットワーク用語は一つずつ暗記すると混同しやすくなります。このページでは、ブラウザにURLを入力してWebページが表示されるまでを追いながら、それぞれの用語が通信のどこで働くのかを整理します。
まずは全体の流れ
Webサイトを開くとき、概略として次の処理が行われます。
URLを入力する
ブラウザはURLから、接続先を表すドメイン名などを読み取ります。
DNSでIPアドレスを調べる
人が覚えやすいドメイン名を、通信で利用するIPアドレスに対応付けます。
LANから外部ネットワークへ送る
宛先が自分のLANの外にある場合、端末は通常、デフォルトゲートウェイとして設定されたルータへデータを渡します。
ルータが宛先方向へ中継する
複数のネットワークをまたぎながら、IPアドレスを手掛かりにデータが宛先へ転送されます。
通信方法に従ってデータをやり取りする
WebではHTTPまたはHTTPSを使って要求と応答をやり取りします。多くの通信ではTCPが使われますが、HTTP/3ではQUICがUDP上で利用されます。
Webページを受け取って表示する
サーバから返されたHTMLなどのデータをブラウザが受け取り、画面に表示します。
1. LAN・WAN・ルータは「ネットワークをつなぐ」ための言葉
まず、自分の端末がどのネットワークにいて、外部へどう出ていくのかを整理します。
LANは、家庭・学校・会社など比較的限られた範囲のネットワークです。自宅のWi-Fiに接続したPCやスマートフォンも、家庭内LANの一部と考えられます。
WANは、地理的に離れたLANなどを結ぶ広域のネットワークです。インターネットは多数のネットワークが相互接続された巨大なネットワークです。
ルータは異なるネットワーク同士を接続し、宛先IPアドレスなどを基にデータを次にどこへ送るか判断します。家庭では、端末から見た外部ネットワークへの出口として動作することが一般的です。
- LAN = 限られた範囲のネットワーク
- WAN = 離れた拠点などを結ぶ広域ネットワーク
- ルータ = 異なるネットワーク間でパケットを中継する装置
2. IPアドレス・MACアドレス・ドメイン名は役割が違う
どれも通信相手を扱うときに登場しますが、同じものではありません。
IPアドレスは、IPネットワーク上で通信相手を識別し、データを宛先へ届けるために使われるアドレスです。IPv4とIPv6があります。
MACアドレスは、主に同一LAN内などデータリンク層で機器のネットワークインタフェースを識別するために使われます。IPアドレスとMACアドレスは用途と働く範囲が異なります。
ドメイン名は、人が扱いやすい名前です。WebアクセスではDNSを利用して、ドメイン名から対応するIPアドレスを調べます。
| 項目 | 主な役割 | イメージ |
|---|---|---|
| IPアドレス | IPネットワーク上の通信先を識別し、経路選択に使う | ネットワーク上の宛先 |
| MACアドレス | 主に同一LAN内の通信でインタフェースを識別する | 同じリンク内での宛先 |
| ドメイン名 | 人が扱いやすい名前で接続先を表す | 名前 |
3. DNSは「名前」と「IPアドレス」をつなぐ
ブラウザがドメイン名だけを見て、そのまま世界中のサーバへ通信しているわけではありません。
DNSは、ドメイン名とIPアドレスなどの情報を対応付ける仕組みです。Webサイトへアクセスするときは、必要に応じてDNSによる名前解決が行われます。
例えば、ブラウザにドメイン名を含むURLを入力すると、DNSを利用して接続先のIPアドレスを得て、そのIPアドレスを使って通信を進めます。
DNSは『通信そのものを運ぶ仕組み』ではなく、『通信先を見つけるための情報を得る仕組み』と考えると整理しやすくなります。
- ドメイン名 = 人が扱いやすい名前
- DNS = 名前解決を行う仕組み
- IPアドレス = 実際のIP通信で宛先として利用される
4. TCP/IPとHTTP/HTTPSは同じ種類の言葉ではない
通信には複数の役割があり、それぞれを異なるプロトコルが担当します。
TCP/IPは、インターネットを含むコンピュータネットワークで使われるプロトコル群や、その階層的な考え方を指します。
IPは主に宛先までパケットを届けるための仕組みを担当します。TCPは、順序制御や再送などを使って信頼性のある通信を実現します。
HTTPはWeb上で要求と応答をやり取りするためのアプリケーション層のプロトコルです。HTTPSはHTTPの通信をTLSで保護し、盗聴や改ざんなどへの対策を行います。
つまり、IP・TCP・HTTPは競合するものではなく、異なる役割を分担しながら通信を成立させます。
アプリケーション層
HTTP / HTTPS / DNS など
利用目的に応じた通信
トランスポート層
TCP / UDP
端末上の通信相手や転送特性を扱う
インターネット層
IP
ネットワークを越えて宛先へ届ける
ネットワークインタフェース層
Ethernet / Wi-Fi など
実際のリンク上でデータを運ぶ
5. DHCPはネットワーク設定を自動化する
端末がネットワークを利用するには、IPアドレスなどの設定が必要です。
DHCPは、端末にIPアドレスなどのネットワーク設定を自動的に割り当てるためのプロトコルです。
家庭や学校のネットワークでWi-Fiへ接続しただけで通信できる場合、利用者が毎回IPアドレスを手入力しなくてもよいように、DHCPが使われていることがあります。
DHCPとDNSは名前が似ていますが役割は異なります。DHCPは主に端末のネットワーク設定を配布し、DNSは名前解決を行います。
| 仕組み | 役割 |
|---|---|
| DHCP | IPアドレスなどのネットワーク設定を自動配布する |
| DNS | ドメイン名からIPアドレスなどを調べる |
ITパスポートではここまでを確実に
- LANとWANの違いを説明できる
- ルータが異なるネットワークをつなぐことを理解している
- IPアドレス・MACアドレス・ドメイン名を区別できる
- DNS・DHCPの役割を区別できる
- TCP/IPとHTTP/HTTPSが異なる役割を持つことを理解している
- Webサイトを開く大まかな流れを説明できる
最後に一本の流れへ戻す
- URLからドメイン名を読み取る
- DNSで接続先のIPアドレスを調べる
- 必要に応じてLAN内の仕組みを使い、外部宛てならルータへ送る
- ルータがIPを基に別のネットワークへ中継する
- TCPやUDPなどのトランスポート層の仕組みを利用する
- HTTP/HTTPSなどのアプリケーション層プロトコルでデータをやり取りする
- ブラウザが受信したデータを画面に表示する
用語を単独で覚えるのではなく、『通信のどの場面で、何のために使うか』を思い出せるようにすると、似た用語を区別しやすくなります。