体系学習
経営指標と企業活動をつなげて理解する
売上・固定費・変動費・利益・損益分岐点・KGI・KPI・ROIを、経営判断で何を見る数字かという観点から整理する。
対象資格:ITパスポート / 基本情報技術者試験
目安時間:18分
このページで理解できること
- 固定費と変動費を区別できる
- 損益分岐点の意味を説明できる
- 簡単な損益分岐点計算ができる
- KGIとKPIを区別できる
- ROIの意味を説明できる
ITパスポート:売上・費用・利益、固定費・変動費、損益分岐点、KGI・KPI、ROIの意味と簡単な計算を理解する。
基本情報技術者試験:ストラテジ系の関連知識として、財務諸表や財務指標、KGI/KPIの因果関係まで理解する。
経営指標は、式だけを覚えると『何を測っているのか』を見失いやすくなります。このページでは、売上から利益が生まれる流れ、固定費と変動費、損益分岐点、KGI・KPI、ROIなどを『経営判断に何を使う指標か』という観点で整理します。
まずは経営を見る順番
数字を次の流れでつなげます。
売上を把握する
商品やサービスを販売して得た売上高を確認します。
費用を分ける
販売量に応じて変わる変動費と、一定範囲では販売量に関係なく発生する固定費に分けて考えます。
利益を見る
売上から費用を差し引いて、どれだけ利益が残るかを考えます。
損益分岐点を求める
利益が0になる売上高や販売量を求め、黒字化に必要な水準を把握します。
目標と進捗を指標化する
KGIで最終目標を表し、KPIで目標達成へ向けた重要な途中指標を追います。
投資効率を評価する
ROIなどを用いて、投入した資本や費用に対してどの程度の成果が得られたかを考えます。
1. 売上・費用・利益の関係を最初に押さえる
利益は売上そのものではなく、売上から費用を差し引いた残りです。
売上高は商品やサービスの販売によって得た金額です。利益を考えるには、そこから原価や各種費用を差し引く必要があります。
費用にはさまざまな分類がありますが、損益分岐点を考えるときは固定費と変動費の区別が重要です。
固定費は一定範囲では販売量の増減に直接比例せず発生する費用、変動費は販売量や生産量に応じて増減する費用です。
| 費用 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 販売量が変わっても一定範囲では大きく変わらない | 家賃、一定額の設備費など |
| 変動費 | 販売量・生産量に応じて増減する | 材料費、販売数量に比例する仕入原価など |
2. 損益分岐点は「利益が0になる境目」
売上がどこまで増えれば固定費を回収できるかを考えます。
損益分岐点は、売上高と総費用が等しくなり、利益が0になる点です。これを超えると黒字、下回ると赤字になるという目安になります。
売上高に対する変動費の割合を変動費率とすると、限界利益率は1−変動費率で表せます。損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割って求められます。
式だけでなく、『1円売れたとき、そのうち固定費の回収と利益へ回せる割合がどれくらいか』と考えると意味を理解しやすくなります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 固定費 | 300万円 |
| 変動費率 | 60% |
| 限界利益率 | 40% |
| 損益分岐点売上高 | 750万円 |
3. KGIは最終目標、KPIは途中の重要指標
目標と、それに近づいているかを測る指標を分けます。
KGIはKey Goal Indicatorの略で、組織や施策が最終的に達成したい成果を測る指標です。例えば『年間売上10億円』や『解約率を5%以下にする』などがKGIになり得ます。
KPIはKey Performance Indicatorの略で、KGI達成へ向けた重要な活動や状態を測る中間指標です。例えば商談数、成約率、継続率などを設定します。
KPIは多ければよいわけではありません。KGIとの因果関係を考え、達成状況を管理するうえで重要な指標を選びます。
| 指標 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| KGI | 最終的な目標の達成度を測る | 年間売上、利益、解約率など |
| KPI | KGIへ向かう重要な途中経過を測る | 商談数、成約率、継続率など |
4. ROIは「投資に対してどれだけ利益を得たか」を見る
成果の大きさだけでなく、投入した資源との比率で評価します。
ROIはReturn on Investmentの略で、投資に対してどの程度の利益が得られたかを見る代表的な指標です。
一般的には『投資による利益 ÷ 投資額 × 100』のように割合で表します。ただし、実務では利益や投資額に何を含めるかを定義して比較する必要があります。
ROIが高いほど投資効率が高いと解釈できますが、ROIだけで投資判断を完結させるのではなく、リスク、期間、戦略的重要性なども考慮します。
ITパスポートではここまでを確実に
- 売上・費用・利益の基本関係を説明できる
- 固定費と変動費を区別できる
- 損益分岐点の意味と簡単な計算を理解している
- KGIとKPIの違いを説明できる
- ROIが投資効率を見る指標であることを理解している
FE深掘り
5. FEでは財務諸表と収益性・安全性までつなげる
損益だけでなく、企業の財政状態や資金の流れも見ます。
損益計算書は一定期間の収益・費用・利益を表します。貸借対照表は一定時点の資産・負債・純資産の状態を表します。キャッシュフロー計算書は現金・現金同等物の増減を営業・投資・財務などの区分で捉えます。
収益性指標の代表例にはROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)があります。ROAは総資産に対してどれだけ利益を生み出したか、ROEは自己資本に対してどれだけ利益を生み出したかを見る指標です。
安全性指標の代表例には流動比率と自己資本比率があります。流動比率は流動資産を流動負債で割った比率で、短期的な支払能力を見る目安です。自己資本比率は総資本に占める自己資本の割合から、財務基盤の安定性を見る指標です。
同じ企業でも、利益が出ていることと、手元資金に余裕があることは同じではありません。利益とキャッシュフローを区別することが重要です。
FE深掘り
6. FEでは指標同士の因果関係まで考える
KPIはKGIへつながるロジックを持って設計します。
例えば売上高をKGIとした場合、売上は『顧客数×平均購入額』のように分解できます。さらに顧客数を新規顧客数や継続率などへ分解し、改善可能なKPIへ落とし込めます。
指標を細分化するときは、測定可能であること、担当者の行動と結び付きやすいこと、上位目標との関係が説明できることが重要です。
単に測りやすい数字をKPIにすると、数字だけを改善してもKGIへつながらないことがあります。
基本情報ではここまでつなげる
- 損益分岐点を式の意味から説明できる
- 損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書の役割を区別できる
- ROIの意味を説明できる
- KGIをKPIへ分解する考え方を説明できる
- 利益とキャッシュフローが同じではないことを理解している
- ROA・ROEを収益性指標、流動比率・自己資本比率を安全性指標として区別できる
最後に一本の流れへ戻す
- 売上を把握する
- 固定費・変動費などの費用を把握する
- 利益を求める
- 損益分岐点で黒字化の境目を見る
- KGIで最終目標を定める
- KPIで途中の進捗を測る
- ROIなどで投資効率を評価する
経営指標は公式だけでなく、『何を判断するための数字か』を対応付けて覚えると、計算問題と用語問題を同じ理解から解けるようになります。